「横須賀にいるの?」「大きくなるの?」「はじめて見た」…感想もさまざま。
「きっと彼なら協力してくれるよ、連絡とってみて」など…専門的な交流も。
かんきょうフォーラム会場の横須賀高校フロア展示のブースは、年齢問わずさまざまな人が足を止め、にぎわっていました。
飼育ケースの中を長い時間、熱心に観察している子もいました。
衣笠商店街のイベント「夕涼み会」でも不思議な科学実験でみんなを楽しませてくれた横須賀高校の科学部の生徒たちが、「横須賀いいね★エコ活動賞」を受賞。2020年2月1日、ベイサイドポケットで「かんきょうフォーラム」の授賞式と活動発表がおこなわれました。
授賞式
発表
活動発表のタイトルは、「出会った君は絶滅危惧種 〜横須賀から進める・広げる環境保護活動〜」
受賞のテーマは「トウキョウサンショウウオ」です。
●活動が始まったきっかけは、「これはヤバい!」
その活動は今から4年前、2016年から始まりました。
神奈川県にトウキョウサンショウウオは、三浦半島しかいません。
横須賀高校の敷地で、トウキョウサンショウウオを発見。校内はトウキョウサンショウウオの数少ない生息地のひとつだったのです。
●保護の活動を始める
数を増やすため、卵塊を保護。生物室にて孵化から幼生、変態まで飼育し、変態と同時に生息地に放す活動を始めました。
飼育は、水温、水質、気温、えさやりなど多くの失敗と工夫を重ねました。
科学部に所属する1年生の学生、いしわたあんじゅさん、さとうたけひろさんにお話しをうかがいました。
トウキョウサンショウウオの魅力は、どういうところ?
んー …(ちょっと時間をおいてから)
クビを上にあげることですね…それが何とも愛らしいです。おなかがすいていると、クビを上にあげてエサを待っているんです。
警戒心はないのですね
在来の生物の特徴なのかもしれませんね。穏やかな性格というか、のんびりしているというか…
エサは2日に1度で、食べた直後は知らん顔なんですけどね
横須賀高校フロア展示
こどもの目線でいっしょに観察
飼育ケースの中のトウキョウサンショウウオ
●活動は「保護」から「保全」へ
2017年には、生息地で自然に育つ環境になるよう、池を作るなど整備を開始。
2018年、卵塊をアライグマに4つも食べられてしまい、NPOに捕獲協力いただきました。
2019年には、確認卵塊数25個!三浦半島生息状況一斉調査に加わりました。
保全のとき、作業のときなどの苦労などありますか?
夏は蚊がいっぱい出るので、生息地の観察は大変です。
また、環境を整えるために池を作っているのですが、今でもコンクリートのU字溝で卵を産みます。
近いうちにあと2つ池を作りたいのですが、それも気に入ってくれるかどうか、彼ら次第です。
これからの目標をおしえてください
2019年3月の三浦半島生息状況一斉調査、このとき時点卵塊数は115個でした。極めて危機的な状況です。
活動を続けて4年目、学校内の卵塊数は11個だったものが25個になりましたが、それも安定したとはいえません。
地域全体で守っていくことが必要です。そのために知ってほしい。
トウキョウサンショウウオのこと、三浦半島の自然環境のことを多くの人に知ってほしいです。
私たちは3年間で卒業してしまいますが、トウキョウサンショウウオは継続的に保護していかなければなりません。そのために、楽しんで活動すること、そして仲間を増やすことも大切と感じています。
トウキョウサンショウウオは自然の宝ですから。
イラストも科学部の学生Nさんが描きました。フラスコを使ったトウキョウサンショウウオのスタンプ
飼育中のトウキョウサンショウウオの展示
●活動は地域へ!
横須賀高校 科学部は、衣笠小学校の授業で教えに行ったり、他校との交流もおこなっています。衣笠商店街のイベントの参加のほか、これからも万代テラコヤ(津久井浜 万代会館)などのさまざまな市内でのイベントに参加予定。みんなにトウキョウサンショウウオのことを伝えています。
もし、彼らに会ったとき、聞きたいことがみつからなかったら、「トウキョウサンショウウオはなにを食べるの?」って聞いてみてください。
お話ししているあいだに、知りたいことがいっぱい出てきますよ。
twitter | 県立横須賀高校科学部
https://twitter.com/YH_scienceclub
日本の里山のチョウやホタルなどの普通にみられていた生物が近年、急激に減っていることが調査の結果わかりました。
トウキョウサンショウウオも里山の生物の代表的な国内在来種のひとつです。
今月(2020年2月)、特定第二種国内希少野生動植物種に指定されるなど、トウキョウサンショウウオは絶滅のおそれのある野生動植物として注目されています。
(参考)
横須賀いいね★エコ活動賞
横須賀かんきょうフォーラム
衣笠商店街 夕涼み会2019年 | 衣笠商店街写真日記
日本の里山のチョウやホタルが急減 | 日本自然保護協会