衣笠商店街を練り歩くパレード「三浦一党出陣武者行列」は、 2年に一回の春、4月下旬の日曜日におこなわれます。
令和2年(2020年)は残念ながら、新型コロナウイルス蔓延防止のため中止となりましたが…。
三浦大介義明を先頭に、20人以上の男性の武者と、武者姿の女性が4人。
町内会の人、商店街のお店の人が武者に扮します。
さて、
男の武者にはちゃんと名前がついています。しかもよくみると名字1つに氏名が2つ。いったい「三浦大介義明」って「三浦おおすけ」なの? 「三浦よしあき」なの? どっちなの?! ってなる。
「三浦大介義明」の「大介」は、仮名(けみょう)というそうです。仮名(けみょう)というのも調べてみると面白いのでぜひぜひ。
一方、女性の武者には、長い名前がついていない。
なんでー?
疑問に思って、衣笠の行政センターに行ってみました。
行政センターの1階には、衣笠観光協会の窓口があります。
壁には、衣笠地域の昔の写真が飾られていて、その中に「昭和32年の武者行列の写真」がありました。昭和32年といえば、1957年…、じいちゃんが子どものときだね! 衣笠商店街の武者行列は、ずいぶん以前からの催しだったのですね。
2階にあがると、武者行列で実際に使用する衣装がガラスケースに保管されていて、いつでも見ることができます。
毎年春になると、武者行列のない年も、商店街のお店やショーウインドウにこれらの武者の衣装が飾られるので、武者行列を見たことない人も、衣装は見たことがあるかと思います。
その中にある4つの女性の武者の衣装。
左から、
- 小櫻姫(こざくらひめ)
- 巴御前(ともえごぜん)
- 花江(はなえ)
- 浦浪(うらなみ)
とあります。
パネルには、各々の人物の簡単な説明がありました。
いずれの女性も、三浦一族に関わる記録、文書や伝説に登場する方々のようです。
巴御前(ともえごぜん)
「巴御前(ともえごぜん)」は、耳にしたことがある人も多いかも。伝説の女武者。
有名な女武者が三浦一族に関わり深かったかも…なのか…。ステキです!
説明のパネルには、「源平盛衰記・平家物語には、木曽義仲の妻であり。近江粟津の戦いにやぶれ、和田義盛(※)の妻となる。」と書いてありますが、だれの妻にもならなかった説もある、謎も多く、かっこいい強い女性です。
(※)和田義盛は、三浦義明の孫です。(大介の長男、杉本義宗の長男)
もうひとり、気になる女性の名前があります。
小櫻姫(こざくらひめ)
説明のパネルには、
「武州金沢城主 楽岩寺種久の姫で、義意との恋物語に出てくる姫。
三浦市の諸磯には、若宮神社の祭神なり。
城ヶ島の洞穴にも、守神としてまつられている。(三浦荒次郎義意の姫)」
と書いてあります。
なんのこっちゃ…ですが、
ちょこっと調べたら、意外とすぐに親近感がわきました。
小櫻姫の旦那さんは、三浦荒次郎義意(よしおき)です。
この荒次郎と父、道寸(三浦義同)が、三浦氏最後の当主。
これは、荒次郎とその父、道寸(三浦義同)の絵図です。
本のタイトルは「英雄百首」!
歴代大相撲力士名鑑みたいなものでしょうか…。
出展:国立国会図書館デジタルコレクション
「英雄百首」天保15 [1844]
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8929313
61コマ目
そして、
三浦半島を本拠に相模国最大の勢力を誇り、伊勢宗瑞(北条早雲)と死闘を繰り広げた名門・三浦氏最後の当主であった三浦道寸(義同)の政治史・戦乱史を詳解する1冊。動乱の関東を戦い抜き、和歌に通じた文化人でもあった勇将の生涯を鮮やかに活写する。
読みたいと思って買ったはいいが、とうとう読む機会が来ましたよ!
三浦道寸(中世武士選書36)真鍋淳哉著
そしてさらに…
あわせて読みたい!
浅野和三郎 小桜姫物語 霊界通信
これは、文頭の解説にあるよう、
「霊界通信――即ち霊媒の口を通じ或は手を通じて霊界居住者が現界の我々に寄せる通信」
初版は、1937年(昭和12年)
小櫻姫が霊界から、当時の生活の話、にっくき北条氏の話から、愛馬若月の話などなどなど、を「あれ? どっち?」と思うくらいの勢いで、生前と死後の垣根はちゃめちゃに話してくれています。
こちらは青空文庫で公開されています。
青空文庫 図書カード:No.4823 小桜姫物語 浅野 和三郎
小さい疑問から、ちょっと調べて、わわーと広がる底の見えない「三浦一族の歴史」を実感する一日となりました。
商店街でお会いした三雄堂書店さんに、「武者行列はそんなに昔からやっていたんですね。」とうかがったら、
「そうだねー。仲通りができる前だね。うちの店の事務の女性が「巴御前」だったかな、女の武者役になったのを覚えているよ」と教えてくれました。